精神保健福祉センターにおけるTICに関する実態把握2

精神保健福祉センター(以下センター)長を対象とした調査とともに、各センターに勤務する相談業務を主な業務としているスタッフ(以下相談スタッフ)を対象とした調査も行いました。

相談スタッフ調査は、回答率は71.6%であり、「TICという言葉を聞いたことはありますか?」については、「ある」と回答したのは66.4%、概念について具体的によく知っている/少しは知っている」と回答したのは39.7%でした。センター長に比べると割合は低いですが、それでも4割近くの相談スタッフが、TICについてある程度知識を持っているという現状が明らかになりました。

また、「トラウマ体験を持つ方への対応についてあなたは課題を感じることはありますか?」という、日ごろの相談業務の中での課題について、「とても感じる」「少し感じる」が合わせて91.9%であり、ほとんどの相談スタッフがトラウマ体験を持つ方への対応について苦慮している可能性があります。また、「担当するケースに過去のトラウマ体験の影響が大きいと考えられるなど、トラウマが背景にあると感じるケースはどのぐらいありますか?」についても約半数(47.4%)が、担当ケースの10%~30%が該当すると回答しており、日ごろの業務の中でもトラウマが背景にある方の対応にあたることは稀ではないという実態も明らかとなりました。

センターの多くの相談スタッフが、普段からトラウマ体験を背景に持つ方の相談対応を行っており、また課題と感じている割合も高いという結果から、センターの相談スタッフにTICが浸透していくことは支援者側、利用者側ともによい影響を及ぼす可能性が示唆されます。

臼田謙太郎
(国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所公共精神健康医療研究部)