TICの普及には、医療従事者や支援者のTICに対する態度の変容が重要であると考えられています。これまでの研究から、個人の価値観が労働場面における態度に影響することがわかっていますが、医療従事者が重視する価値観とTICに対する態度の関連については、明らかにされていませんでした。
東京大学大学院医学系研究科精神保健学・精神看護学分野では、2020年1月から2月、および2021年5月から6月にかけて、災害派遣医療チーム(DMAT)および災害派遣精神医療チーム(DPAT)に所属する医療従事者を対象とした調査を行いました。その結果、「社会をよくすること」および「積極的に挑戦すること」を重視する医療従事者は、よりTICに対する態度が前向きであることが示されました。
これらの結果から、支援者がTICを前向きに受け入れ実践していくためには、医療や福祉の現場において、これらの価値とTICの重要性・必要性とのつながりを意識した教育研修やトレーニングが効果的である可能性が考えられました。例えば、研修の中で「TICの実践が社会をよくすることにつながる」「TICは積極的に挑戦する価値のある考え方である」といったメッセージを伝えることや、これらの価値を重視する支援者を中心的な存在として働きかけていくことなどが考えられました。
この研究は2025年12月発刊のトラウマティック・ストレスに掲載されました。また、2025年8月2日・3日に開催された第24回日本トラウマティック・ストレス学会学術集会にて発表し、最優秀演題賞(ポスター)を受賞しました。
小西 優歌, 浅岡 紘季, 飯田 真子, 澤田 宇多子, 河嶌 讓, 池田 美樹, 宮本 有紀, 小井土 雄一, 西 大輔 (2025). トラウマインフォームドケアに対する態度と主体価値との関連についての検討. トラウマティック・ストレス, 23(2), 79-89.
